「個人情報保護法」の発布によって、広告パネルの内蔵カメラを通じて映像を収集することは違法と認定されるリスクがあろうか?
(by 遊雲庭)
「人民日報」の報道によると、「個人情報保護法(草案)」が先日、全国人民代表大会常務委員会に提出され、審議が行われる見通しである。同草案による個人情報の保護強化によって、「ネットワーク安全法」がオフラインにおける個人情報の保護不足を補い、関連のオフライン業務を経営する企業にとって、コンプライアンス・リスクが大幅に高まることになるであろう。例えば、分衆社が広告パネルに内蔵されたカメラを利用して、映像を収集することを計画し、そのことが大な争議を引き起こしたこともその一例である……[ 全文]
アプリ「第一弾」の責任者が逮捕されたことを基に、情報ネットワーク犯罪活動の幇助罪を読み解く(上)
(by 朱夢怡)
上海市の静安区検察庁は、アプリ「第一弾」を利用して、著作権侵害の映像を投稿した容疑者22人の逮捕を許可した。その内、16人は著作権侵害の疑いで、6人は著作権侵害及び情報ネットワーク犯罪活動を幇助した疑いで、逮捕された。取り調べによると、上海斯乾ネットワーク科技有限会社は、2019年より、著作権者の許諾を得ずに、アプリ「第一弾」のプラットフォームに、米国、日本、韓国等の映画作品を大量にアップロードし、会員料や広告料を請求したという。アプリ「第一弾」の関係者が著作権者の許諾を得ずに、無断で関連映像をアップロードし、著作権侵害の疑いで逮捕されたことは納得できるであろうが、逮捕された22人の内6人が同時に「情報ネットワーク犯罪活働の幇助罪」を問われた。情報ネットワーク犯罪活動の幇助罪は多くの読者にとって、初めて聞く罪名であろう。……[ 全文]
1.「中国特許法」(改正)
発布機構:全国人民代表大会常務委員会
発布日:2020年10月19日
施行日:2021年6月1日
書類番号:中国主席令第五十五号
主な改正内容は以下の通りである。
1.権利侵害コストを高め、権利侵害者に重い代価を払わせる
今回の特許法改正は、懲罰的な賠償制度を新たに設けている。故意に特許権を侵害し、情状が重い場合、裁判所は権利者の受けた損害、権利侵害者の得た利益又は特許使用料に基づき算定された金額の1倍~5倍の賠償額の支払を命じることができる。それと同時に、法定賠償額を引き上げ、法定賠償額の上限を500万元、下限を3万元に引き上げている。
特許紛争事件の挙証が困難であることを解決するために、今回の特許法改正は証拠規則を改善し、権利者が挙証のために最大限の努力をしたものの、権利侵害行為に関わる帳簿、資料が、主に侵害者によって、保有されている場合、裁判所は権利者にこれらの書類の提供を命じることができる。それによって、権利者の挙証負担を軽減することができる。
2.「眠る」特許の活用を促進する
今回の改正は「使用者が法に基づき、職務発明の関連権利を処置すること」、「国が特許権を授与した使用者がインセンティブを実施すること」について定めており、発明創造の考案と普及・応用を奨励している。国務院の特許行政部門は、特許情報の公共サービス体系を構築することに責任を負い、特許基礎データを提供する必要があり、地方の特許行政部門は、特許に関わる公共サービスを強化し、特許の実施と運用を促進する責任を負うことを明確に定めている。
3.医薬産業のイノべーションを奨励し、国民の生命、健康への保護を強化する
今回の特許法改正は、医薬品の特許期間補償の規定を追加している。新薬の発売審査に要する期間を補うため、中国で発売許可を得た新薬の関連発明特許に対し、特許権者の請求に応じて新薬の審査期間を補う。補償期間は5年以内とされており、新薬発売が許可された後の特許有効期間の上限は14年とされている。(情報元:新華網)
http://m.xinhuanet.com/2020-10/17/c_1126624433.htm
2.「中国未成年者保護法」(改正)
発布機関:全国人民代表大会常務委員会
発布日:2020年10月19日
施行日:2021年1月1日
書類番号:中国主席令第五十七号
今回の改正の主なポイントは以下の通りである。
1.初めて、学校が学生いじめ防止制度を制定すべきであることを規定している
2.未成年者の権利が侵害された場合の強制報告制度を増設している
3.学校は未成年者へのセクハラ又は性的暴行行為を速やかに報告しなければならない
4.未成年者のホテル宿泊のチェックインへの管理を強化する
5.家庭保護を強化し、家庭監護の責任を具体的に定めている
6.留守児童の委託育成制度を改善する
7.国家監護制度が未成年者保護の包括的規定であることを明確に定めている
(情報元:新華網)
http://m.xinhuanet.com/2020-10/18/c_1126624505.htm
3.「中国輸出管理法」
発布機構:全国人民代表大会常務委員会
発布日:2020年10月19日
施行日:2020年12月1日
書類番号:中国主席令第五十八号
「輸出管理法」は計59条からなり、総則、管理政策、管理リスト及び管理措置、監督管理、法的責任、付則の五章を含む。主には、輸出管理範囲、輸出管理リスト、臨時管理及び全面管理、経営資格及び輸出許可制度、最終ユーザー及び最終用途管理、域外適用及び対等措置等の内容が盛り込まれている。
輸出管理とは、特定物品項目の輸出禁止又は制限することによって、当該物品項目の使用主体又は用途を管理、規制することである。輸出管理は、国際社会に通行される拡散防止等の国際的義務を履行するために、実施される措置である。(情報元:新華網)
http://m.xinhuanet.com/2020-10/18/c_1126624518.htm
4.「中国個人情報保護法(草案)」
発布日:2020年10月21日
発布機関:全国人民代表大会常務委員会
「草案」の主な内容は次の通りである。第一、適用範囲を明確に定めている。第二、個人情報取扱規則を整備している。第三、個人情報の越境提供規則を改善している。第四、個人情報処理活動における個人権利と処理者の義務を明確に定めている。第五、個人情報保護の責任。「草案」は「告知-同意」を核心とする個人情報処理の一連の規則を確立して、個人情報を処理する際には、事前に充分に告知する前提下で、個人の同意を取得する必要がある。しかも個人は同意を撤回する権利がある。重要事項が変更された場合には、新たに個人の同意を取得する必要がある。個人が同意しないことを理由に、製品やサービスの提供を拒否してはならない。個人の同意以外の個人情報の合法的処理の事由を定めている。草案は、個人情報の越境提供の「告知・同意」に対し、更なる厳しい要件を設けている。(情報元:全国人民代表大会ホームページ)
http://www.npc.gov.cn/flcaw/userIndex.html?lid=ff80808175265dd401754405c03f154c
5.「中国行政処罰法」(改正草案)
発布日:2020年10月21日
発布機関:全国人民代表大会常務委員会
第十三回全国人民代表大会常務委員会は第二十二次会議において、「中国行政処罰法(改正第二次草案)」(以下、「第二次草案」。)について審議を行い、その全文を公表し、パブリックコメントを求めている。
第二次草案第9条は、これまでと比べ、6つの行政処罰を列挙し、適切に調整を行っている。第一、「閉鎖を命じる」行政処罰を追加している。第二、「行政許可を申請してはならない」、「行為停止を命じる」「行為を命じる」という行政罰を削除した。「第二次草案」は、「国務院部門と省、自治区、直轄市の政府及び関連部門が定期的に、組織的に行政処罰の実施状況と必要性を評価し、不適切な行政処罰事項の改正又は廃止を提案する必要がある」と定めている。また、地方法規による行政処罰の追加、総合的行政法執行、行政処罰手続の規範化等について、規定している。(:全国人民代表大会ホームページ)
http://www.npc.gov.cn/flcaw/userIndex.html?lid=ff80808175265dd4017544181b1b15c2
6.『法律に基づき、「当たり屋」行為による違法犯罪事件の処理に関する指導意見』
発布機関:最高裁、最高検、公安部
発布日:2020年10月14日
書類番号:公通字〔2020〕12号
『指導意見』は、主に「当たり屋」行為の認定処理、公安・検察・裁判所の関連部門の役割分担、宣伝教育強化等の内容を規定している。『指導意見』は、これまでの実務経験を総括した上で、「当たり屋」行為を通じて、「詐欺、恐喝等の一般犯罪行為」を実行する際の認定処理を規定している。更に、「当たり屋」行為から派生する犯罪行為の認定処理についても明確に規定している。「当たり屋」行為を実施する際に、実行された強盗、略奪、窃盗、故意の器物損壊、不法拘禁、不法捜査などの行為に対する認定、処罰が含まれている。また、「当たり屋」行為によって、「他人の人身安全を侵害した」等情状の認定を定めている。「当たり屋」行為の実施によって、「故意または過失による死傷を生じた」場合、故意殺人罪、故意傷害罪、過失致死罪、過失致重傷罪に基づき、処罰する必要がある。(情報元:最高裁ホームページ)
http://www.court.gov.cn/fabu-xiangqing-262161.html
今月号写真:
撮影者: 李莉 行政
写真説明:寝っているペンダ、成都市 四川省、2020年10月に撮影。